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2012年10月 1日 (月)

野村美術館講演会〜「良い茶碗」とは

野村美術館の講演会も後半が始まりました。

本日は学芸部長の谷晃先生じきじきのお話。

現在公開中の「茶の湯の名碗展」にちなんだ「良い茶碗とは」という講演でした。


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先日私も見た泉屋博古館の茶道具展で、向付としてでていた染付の器にほぼそっくりなものが、野村では茶碗として伝わっている、ということから、茶碗と向付の違いは何だろう、、、というお話から。

「山上宗二記」曰く、侘び数寄の茶道具の三要素、「なり・ころ・ようす」で茶碗をみてみると、、、

1)なり・・・用途にかなったもの(合目的性)
   茶をたて、のむのにあう形である

2)ころ・・・大きさ、比率、重さ(合審美性)
   例えば、
     茶碗の口径:高さ:高台の径=1:0,5:<0.5
   の比率の茶碗が圧倒的に多い。(これは茶入にもいえる)

3)ようす・・・茶に合う雰囲気(合精神性)

   枯高、静寂、幽玄、、、など。

これらの3要素を満たして初めて鑑賞陶器とのちがいが明確になると。

  P1000302
(東博展示中の三島)

1)2)(なり ころ)では冒頭の茶碗は、茶碗と向付の両方のバリエーションの重なるところ、(数学で言えば積集合の部分)にあるといえます。


3)のようす、、、ではどうでしょう。
これは受け取り方に個人差があるかもしれませんね。


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「茶道の哲学」で久松真一があげた7つの茶道文化の性格、
1)不均斉 2)簡素 3)枯高 4)自然(じねん)5)幽玄 6)脱俗 7)静寂

これらは、そのまま侘び数寄の茶道具の基準としてあてはまるといいます。
あくまで侘び数寄。唐物はあてはまらない。

(ああっ!また「茶道の哲学」読み直さねば!座右の書なのに最近とんとご無沙汰で、、、)

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ほかに良い茶碗の条件として、谷先生が考えられるのは、

1)口作りがよいこと・・・口触りがよい

2)磁器はいれない・・・茶の色とのバランスがあわない、怜悧な感じがぬくもりがなくあわない

3)好み・・・美意識は時代とともに変化する。


お話しを聞いていて、個人的に忌憚のないご意見を聞きたかったのは、当代楽さんの茶碗について。

あれは、なり(どこからのんでよいかわからないほどの不整形)、ころ、口作り(唇が切れそうなエッジ)どれをとっても基準にあわないしcoldsweats01あはは。

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美意識・茶道具の時代変化のおはなしはおもしろかったので、備忘録としてちょっと書いておきます。

1)唐物主体の時代・・・16世紀中頃まで

天目、染付、赤絵、青磁など。
いわゆる会所飾りだったものが、応仁の乱で市中に流れ出したため市井の目にとまるようになったが、16世紀後半に消えていった。
次の時代の侘び数寄の道具に押し流されるように、その消え方は急激であった。

2)侘び数寄の時代・・・16世紀後半

古窯(信楽、備前など)、高麗から世紀末になると楽、瀬戸、美濃、織部、志野などへ。

いわずとしれた利休の時代。
侘び数寄の茶にかなう数寄道具。

高麗の井戸茶碗は初めて茶会記に登場するのは1578年と、意外に新しい。
(井戸茶碗の来歴に関しては、朝鮮の民衆が普段使いにしていた茶碗、という従来説は否定的)

3)茶匠の時代・・・17世紀以降

織部、遠州、石州、宗和、宗旦などそれぞれ独自の茶の湯論を展開した時代。
このころ、千家はそれほどブランドではなかった。

18世紀に入って家元制度が確立。
千家がブランドとして成立。
流派の差別化として、家元の好み物がつくられるようになった。

4)近代財閥数寄者の時代・・・19世紀

ヨーロッパの物の見立てや、大名好みの唐物、侘び数寄道具、家元の好み、本人の好み、、、と、とにかくごった煮的ごちゃまぜ。

なので彼らのコレクションは確かに美術館向きだし、美術館を作ったわけね。
納得。

5)女性の時代・・・戦後

なぜ茶道が女性のものになったか、という本を以前拝読。
(内容うろおぼえ)
現代は女性好みの色絵や、優美なものが好まれる。
確かに茶碗のカタログをみても、そうですね。

実は私も、薄茶器は渋い真塗りの利休型棗よりも実は蒔絵のものが好きなんですけれど、茶碗は色絵よりも、高麗茶碗のようなわびたものが好きだなあ。
でも、たまに大迫力の渋い高麗茶碗をみると、これは女性の手にはあまるな、、と感じることが。
こういうのは渋い男性が十徳を着て扱うのが似つかわしいような気がします。


茶の湯が男性の手に奪還coldsweats01される日はくるのでしょうかね。


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(岡崎白川のサギ)

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コメント

先日、藤田美術館で展示されている耀変天目や菊花天目などを拝見してきました。
ご一緒した人はこれを直に手にされたことがあるそうです。

また、ある美術商さんで「不二山」と「毘沙門堂」の二つが手に入り、どちらを手放そうかと
店員一同1日見比べて過ごし、「毘沙門堂」を残すことにしたという話を聞きました。

御両名ともに恐ろしい経験をされたものです。
そして、どのような思いで実際に見られたのかはお聞きしませんでした。

昨日、野村美術館、泉屋博古館、京都市考古資料館、樂美術館とハシゴし、最後はUtsuwa Kyoto Yamahonで須恵器の個展を観て、一日茶碗漬けでした(笑)。
今日は京都市美術館で京都画壇の絵を観、茶道資料館と清水三年坂美術館をハシゴしました。
どこで何を観たのか記憶が定かではありませんが(笑)、泉屋の青銅器は質量ともに今まで観た中では一番でした。
三年坂の明治工芸も凄かったです。

野中の清水様

あいかわらず恐ろしいcoldsweats02知己の方々をおもちで、、、
世界で3つしかない曜変天目、(私は一生触れる日はないでしょうが、)手が震えたりはしなかったのかしら??
ええ!?不二山ってあの国宝の?
そういう世界、、もうついていけませんwobbly

relax様

ええ〜っ?!
1日でこれだけ全部回られたんですか?
Unbelievable!!coldsweats02
すごいのはフットワークだけでなく、それだけ情報を収納できるメモリ(頭)ですね。
私は一つ見たらその1日はそれだけにしておかないと、混乱してしまいます。
住友の青銅はやはりすごいのですね。この前私はスル〜しちゃいましたがcoldsweats01

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