フォトアルバム
Powered by Six Apart

« 梨木神社・萩まつり〜チャリで御所西めぐり | メイン | 峯風庵で懐石料理教室〜富田林じない町 »

2012年9月24日 (月)

人間国宝・江里佐代子の截金〜香雪美術館

このところ美術館めぐりばかりでございます。

でもあちこちであまりに魅力的な展示がおこなわれているんですもの。
行かないわけには!

P1000315

ところは阪急御影、神戸の「六麓荘」といわれる超・高級住宅地。

P1000328

朝日新聞創設者、村山香雪こと村山龍平のコレクションを収蔵する香雪美術館

P1000320


村山龍平は、藪内流茶道を修め、先日書きました住友春翠とも交流のあった、財閥数寄者のひとりです。
この美術館は、広い旧村山邸(重要文化財)の庭の一画にあります。

P1000324

美術館の応接室からちらりと見える旧村山邸。(ふだん非公開)
HPをみると近代数寄者のどなたにも遅れをとらない、数寄をつくしたすごい大邸宅のようです。

P1000327

藪内家の燕庵写しの玄庵という茶室もあります。(これも非公開)

庭園は年に何度か公開され、年に1回は玄庵で藪内流の茶会(点心は吉兆lovely)がひらかれます。
(かつて阪神間に住んでいたときに、行こうとしてチャンスを逃したことあり)

P1000317_2

さて、今回目的の展示はこれ。
当時最年少(56歳)で人間国宝となり、5年前62歳の若さで異国で急逝した截金(きりかね)作家、江里佐代子の作品展。


Main_img_10

実は截金の作品には以前から少し興味があったのですが、先日NHKの番組で、彼女の生前のドキュメントの再放送があったのです。
(『NHK工房探訪・つくる  截金 江里佐代子』 1990年9月放送)

しかもそこに写された工房はなんと!
いつもの散歩コースの謎の家、ご近所だったんですcoldsweats02
表札もない、かわったデザインのお家だな、となんとなく眺めていましたが、そのデザインが截金のモチーフだということに今やっと気づきました。
平安佛所

放送は現在行われているこの展示会にあわせた再放送のようで、これは行かずばなりますまい。


P1000329

截金は細く切った金箔、銀箔、白銀箔を筆と接着剤を用いて貼ることによって文様を表現する伝統技法。

日本では古く奈良時代から存在し、本来仏像・仏画の衣や装身具を荘厳するためのもの。


江里さんはもともと仏師である夫君(江里康慧氏)の彫った仏像を截金で荘厳する仕事をされていたのですが、そこから独自の技法、デザインを発展させて工芸品、美術品の作家となり、その技量をみとめられ人間国宝になった方。


京都迎賓館の舞台扉の截金でも有名ですね。


TVではその創作課程も見ることができましたが、まあ実に細かい細かい、しかも緻密な作業です。

まずはその金箔を切ることから、高等技術。
竹刀という竹の道具で細く太く、様々な太さに切っていくのですが、細いものは髪の毛よりほそいんじゃないかと思います。
しかもちゃんとまっすぐな、同じ幅の直線になっていなければ作品には使えません。


P1000330
(購入した絵はがきより)


これを2本の筆をあやつって貼り付けていくのですが、下絵はあってなきがごとし、勘だけで貼り付けていくのにあの幾何学的模様(少しでもずれたら総崩れ)がびし〜っとそろうのはまさに神業です。


展示は、御夫君の仏像に荘厳したもの、香合や盒子などの小物、風炉先や衝立などの大きなものまで。

截金制作工程の写真解説も興味深く、さらに竹刀で切った箔の糸を太さ別にそろえてしまっておく引き出しなどもありました。

P1000333
(パンフレットより)

まあ、どの作品もどうやって、どれだけ時間をかけて根気よく完成させたのか?と不思議におもえるくらいのすばらしいものばかりで圧倒されました。

すごい、、、、


パンフの右下の方にあるのが截金を漆でカバーする技法を用いた棗。
なにしろ棗は帛紗でふきますので、截金だけでは剥がれるのです。

そこへ漆を塗ると、最初は漆の黒っぽい色にかくれてうっすらとしか見えないのですが、なんと時が経てばたつほど漆は透明になって、下から截金が浮かび上がってくるのですって。

この棗は、赤っぽくなった漆を透かして、かなり明るく截金が見えるようになっています。
いいな〜lovely
(ちなみに漆は経年で赤く透明になるのです。これがまたいいんです。先日楽美術館の鑑賞茶会、楽さんと一閑さんの合作の暁塗りというのがありましたが、まさにこれかな)


まだまだこれから、というときに講演、取材先のフランスで脳出血で急逝されたのはほんとうに残念なことでした。


でも現在は、彼女が指導した若い世代(長女の左座朋子さんなど)が育ちつつあるようで、工芸展などで截金作品を見る機会も多々あります。

いつかは、なにかひとつ、茶会・茶事に使えるものを手に入れたいものです。

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.blog.eonet.jp/t/trackback/349039/29877745

人間国宝・江里佐代子の截金〜香雪美術館を参照しているブログ:

コメント

こういう細密なものに極端に弱いです。
今年、京薩摩の作家さんにお願いして、茶碗を作って戴きました。
薄い磁器なので使ったらちょっと熱かった。
この截金の棗も欲しいですぅ…
買える値段のものならば…。

relax様

人間国宝のものはちょっと手が出ないでしょうねえdespair
でも若い作家さんたちもがんばっておられるようで、デパートでの工芸展で作品を拝見することがあります。これならちょっと手が届くかも、、、。
京薩摩のお茶碗ですか?磁器はたしかに熱そうですcoldsweats01でも薩摩の緻密な紋様は、きれいでしょうねえ。

コメントを投稿