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2012年3月

2012年3月31日 (土)

京都府庁旧本館〜枝垂れ桜は、、、

本日は皆様をヨーロッパの、ルネサンス様式のお城にご案内しましょう。

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この堂々たる左右対称。
いやあ、ヨーロッパクラシックですねえ。

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車寄せの柱はナントカカントカ様式で、、、(←そろそろあやしくなってきたcoldsweats01
王子様、お姫様が手を振ってくれると似合いそうなバルコニー。
たとえ、日本伝統建築が好きとはいえ、こういう西洋建築には乙女の頃からすごい憧れがありますわぁlovely

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そうそう、エントランスホールには必ず左右にわかれた階段があるのですよねえ。

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天井をひたすら高く高く。

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階段親柱の意匠はアカンサスの葉(この館の装飾のシンボル)。
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二階に上がりきるとこの景色。

え?
ヨーロッパに桜ですか?

なんて、おほほほcoldsweats01
まあ、とうにばれてますわね。

ここはヨーロッパではなくて洛中ど真ん中、昭和46年まで京都府庁であった旧本館。

明日までの一般公開です。

方形の建築の中庭に円山公園の枝垂れ桜の子孫という見事な枝垂れがあって、その開花に合わせて毎年この季節に一般公開されるのですが、、、、


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あれ?

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だめじゃん!
まだつぼみじゃん!

やはりこの長引く寒さではね。
この時期に京都花見観光を予定されていた方々にはちょっとお気の毒ですwobbly

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でもま、建物は見る価値があるし、こんなイベントも建物を使って行われているし、館内散歩しませう。


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アーチが遠近法で続く回廊。
なんとなく昔の京都の小学校のイメージ。

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明治37年竣工のこの建物は、日本人が設計した西洋建築の到達点、、、、だそうです。
他の京都レトロ建築と同じく、とても豊かな芸術性、精神性、人間性を感じるのです。
(いわゆるモダン建築は好きじゃない。)


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ドア一つをとっても、機能性ばかりを追求したものでないのが豊かな感じ。


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こうやって中庭をのぞむと、ヨーロッパの修道院の回廊から中庭をみているような感じがしませんか。

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かつて府職員が執務したであろう各部屋が、京都・関西を中心に活躍するアーティスト達の作品を展示するブースになっています。(一般公開期間中のみ)


このポスターの右にあるウサギの人形、これ引き出しの取っ手なんです。
いたく気に入りました。(買わなかったけどね)


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カフェもあって、ユニークな和菓子を作っている日菓さんの和菓子をあてこんでいったのですが、残念ながら、すでに売り切れ!


ついでといっちゃなんですが、知事室も見ておきましょう。


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お、まゆまろ健在!

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ここで最後に執務した知事はかの蜷川虎夫氏。
ながらく、京都が共産党の牙城であった時代のシンボルですね。
私が大学在学中もまだ知事としてご健在でした。
懐かしい名前。

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知事室の暖炉。
これは本当に火を入れて使ったのでしょうか。


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こちらのドアはさらに重厚です。
この部屋からは大文字が今でもよ〜く真正面に見えます。

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こちらは建物の一番奥正面にある正庁。
公賓の接遇や公式行事等の会場として使用されてきたホールです。
なにかのパフォーマンスが終了したあとにしのびこみ撮影。

この正庁は普段は結婚式場としても使用できるとか。
いいですねえ、ルネサンス様式のお屋敷で結婚式、、、(まだ言ってる、、、)


今日は雨上がりのあと青空が見えたのはいいですが、また冬に逆戻りの寒さでした。
でも帰り際にさっと夕暮れの最後の陽がさすと、、、、

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枝垂れのつぼみがあたかも花開いたように、美しい桜色に輝いたのには感動しました。
桜の春は、もうすぐそこまでなんですね。

2012年3月29日 (木)

映画「道〜白磁の人」公開記念講演会

2年前の夏、高麗美術館になにげなくでかけて、そこで浅川兄弟と初めて運命的な(と、個人的には思っている)出会いをしました。

日本統治下の朝鮮に暮らして、当時の人だれからも見向きもされなかった朝鮮白磁の美しさにうたれ、その研究に朝鮮全土を歩き研究に生涯をささげた兄・伯教(のりたか)。朝鮮の服を着て、朝鮮人と同じ暮らしをし、朝鮮人に一番愛された日本人といわれ、朝鮮人に惜しまれながら夭折、朝鮮の土となった弟・巧。

彼らについては関連書籍も含め、かなり力をいれて一文をものしたので、ちょっとだけ抜粋。

    *     *     *


巧は流暢に朝鮮語を話し、いつもチョゴリ・パジ(民族服)をきてマッコリを飲みソルロンタンをたべ、多くの朝鮮人の友人がいた。彼のわずかな給料は、貧しい家の子供の学費や、生活に困っている家の生活費として消えていったという。

人間的あたたかさ、やさしさ、おもいやりの心をもった、どこか茫洋としたこの青年を、朝鮮の人々は愛したという。

彼の家に遊びにきた朝鮮人の娼婦が同じく朝鮮人の警官とけんかになり、それを尼さんがなだめる、、、という場面もあったそうで、彼の交際は身分など関係のないものだったことをしのばせる。

今の時代でいうと、どうということもないと思えるかもしれないが、かの時代、軍人が電車で座っている朝鮮人の老人をたたせて席を横取りする、ということが平気で行われていた時代の話なのだ。

しかもあまりに流暢に朝鮮語を話し、どこからみても現地の人に見えた巧は、ときに日本軍人に理不尽なしうちをうけたそうだが、決して「私は日本人だ。」と言わなかったそうだ。朝鮮人がそういうときにするように、何も言わずそっとその場を立ち去った、という。

声高に、日本の朝鮮支配を批判したわけでもなく、政治とは無縁の人だった。
ただ、ただ、朝鮮を愛し、その失われてゆく文化、芸術を惜しみ、そして朝鮮に愛された日本人だったのだ。


    *     *     *


出会ってからは、彼らに関する本を読みあさり、東洋陶磁美術館で浅川兄弟〜白磁は二人を忘れない展が来たときにはうれしくて、また会いにでかけたものです。

私は弟、巧の生き方自身にとても惹かれます。
私の敬愛する宮沢賢治と、その生き方はどこか似ていて、しかも40才前に夭折したところもどこか似ていて。

彼の生涯を伝記風に書いた本「白磁の人」の映画化の話があることは知っていました。
それがついに完成、この6月ロードショーなんですって!

それを記念して、公開前に高麗美術館(浅川兄弟の業績をもっと広めるべく、講演会など多数おこなわれています)学芸員、山本俊介さんのトークショーがあると聞きつけ、行きましたっ!

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場所は初めて行くJR京都駅南のイオンモール。(でかっ!)

この中のシネコンT・JOY京都で。


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映画のタイトルは「道ー白磁の人」。
トレーラーをみせてもらいました。

もちろん巧さんには会ったこともないのですが、私の中でこういう人だろうな、、というイメージがなんとなくあって、巧役の俳優さんはちょっと私のイメージとはちがうなあ。
誠実で真面目そうなところはイメージどおりだけれど、実際の彼はお堅い人じゃなくて、もっとユーモアのセンスにあふれた、というか茶目っ気のある人だったんじゃないかな。

それでも当時の朝鮮の風俗など忠実に再現されていて、本編をみるのがとても楽しみです。

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トークショーにどれほどの方が参加されるのかな、と思っていましたら意外とたくさんの方が。
(ほとんど私より年上、、、coldsweats01

若い方にも是非みてほしいものです。
当時の日本統治下の朝鮮の歴史も知った上で。


山本さん曰く、映画では柳宗悦の扱いが小さいのがちょっと残念、と言っておられました。

兄弟の業績は、当時の著名な思想家、哲学者、宗教家、文筆家であった彼なしでは、確かにここまで知られなかったでしょう。

思えば、伯教が初対面の手土産に持参した白磁の壺がなければ、民藝も生まれなかったし、朝鮮民族美術館(当時)の厖大なコレクションも生まれなかった。当時の朝鮮人が捨ててしまっていたその工芸の美しさも歴史の中に埋もれてしまっていたかもしれない。

そのシンボルというべき青花草花文面取壺、柳 宗悦展でも、また見て(実は数回見ているの)、その運命的な出会いに思いをはせたのであります。

高麗美術館では2年前に「浅川巧日記」を歩く、と題したツアーを企画されていたそうです。
巧が勤務した京城(ソウル)の林業試験場、住まいした清涼里、朝鮮白磁のふるさと広州分院里、そして彼が眠る忘憂里(マンウーリ)墓地を巡る旅。

とくに忘憂里の彼のお墓には是非お参りしたいなあ、、と思っているのですが、なかなか気軽に行ける場所ではないのです。
こういうツアーがあるなら是非参加したい(仕事うっちゃっても)!と思っていましたら、今年また企画されるようです。
ああ、これは是非いかなければ!


    *     *     *

<映画HP>
こちら


2012年3月26日 (月)

上七軒・北野をどり 2012

京の五花街のトップを切って、ここ上七軒で北野をどりの開幕です。

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祗園甲部とここだけに許された五つ団子の提灯。
華やかな花街の雰囲気にあいますね。

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上七軒歌舞練場への風情ある道。


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最大の花街、都をどりの祗園甲部歌舞練場に比べるとこぢんまりしていますが、風情ではまけません。
北野天満宮のほん近く、というロケーションもいいですね。
五花街の中で実は上七軒、一番長い歴史を誇っているのです。
元はといえば15世紀の北野天満宮参拝客の休憩所だったとか。

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こちらは天満宮からの入り口。
さすが、老松さんの名前の入った雪洞ばかりcoldsweats01


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ちょうど天神さんの市がたつ日でもあったので、開演前に少しぶらぶら。
急な雨もあって、もう片付けに入っている店が多かったのが残念。
こんどまたゆっくり来よう。

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開演前に舞妓ちゃんによる立礼のお点前をみながら、お茶を一服よばれます。

あら?
お菓子は老松さんじゃなくて鶴屋吉信さん。
このお皿はお持ち帰りできますのよ。
昨年の都をどり、京おどり(宮川町)、今年は北野をどりのが集まりましたわ。


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歌舞練場の中庭。
この木造部分は明治30年代の建築とか。
花街らしい情緒がありますね。
戦後はGHQの将校クラブになっていたこともあるとか。


夏場はここで舞妓ちゃんたちがそばにすわってくれることもあるビアガーデンにもなるんです。
夏場以外は、喫茶・洋食「茶ろん」で軽食がいただけます。

ここでコーヒーをのんでいると、隣の席にすわったのが、よその花街の姐さん達と、そのひいき筋とおぼしきおじいさま。
ええ雰囲気かもしていましたわ〜。

今回の公演は
舞踊劇「愛してならぬ人」
純舞踊「常磐の寿ぎ」
フィナーレ「上七軒夜曲」

舞踊劇は河童のカンコのおはなし。
なんだか宝塚歌劇をみているようで面白かった。

2月の弘道館月釜でお点前をされたマルチタレントな尚鈴さん、カンコのお兄ちゃん(河童の親玉みたいな役)をやってはりました。
かっこいいですよ。

やはりきれいどころがずら〜っときれいなべべを着て、キラキラの髪飾りつけてはるのを見るのはええなあ。
寿命が延びる気がしますわ。(←年よりくさ〜)

話題の現役最高齢、勝喜代さん(80代だったと思う)のフィナーレでの踊りも見せていただきました。
さすがに芸をきわめた人は高齢になってもしゃんと、背筋がのびているなあ。
年をとってもかくありたいものです。


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終演後、ちらっと写した舞台。
写真では紅白梅の緞帳がかかっていますが、開演前の最初の緞帳は生成り色の和紙(染色せず和紙そのものの色)でできていたのにはびっくり。


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よその花街からおこしの姐さん方、舞妓ちゃん方がいそいそとお帰りの姿も風情がありますね。

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上七軒の検番(舞妓さんや芸妓さんが舞などの稽古をしたり、お茶屋さんなどの事務仕事をしきったりするところ)。
上七軒通りから少し南下する道にあり、この周辺の家並みはよい風情があります。

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ポスターですが、フィナーレを舞台裏から撮った感じがいいですねえ。

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上七軒・老松さんでこんなお菓子(摺り琥珀)も買いました。

4月8日のさかさま会に、老松の太田さんも出演するらしいですよ。
私は別件で行けませんが、どなたか参加される方、またどんなだったか教えてねhappy01

2012年3月25日 (日)

野村美術館講演会〜平安時代の料紙装飾

今年度も始まりました。
野村美術館の講演会。

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(なんといっても徒歩で行けるのはうれしいですわ。たくさんの遠方からおいでの方、ゴメンナサイcoldsweats01おほほ)

今回の講師は徳川美術館の副館長さん、四辻秀紀さん。

タイトルは「平安時代の料紙〜その美意識を探る〜」だったのですが、料紙のお話しは最後の5分くらいだけだったかしら、、、coldsweats01

その時間のほとんどを平安時代の仮名の移り変わりと歴史、重要な作品についてお話しされました。

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これは今季の野村の展示、「かなの美」に合わせた講義だったのでしょう。
展示はすべて流麗なかなの軸がずら〜り。

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万葉仮名あり、ひらがなとの混じり有り、純粋なひらがなだけのものあり、、、、
文字、墨の色、筆継ぎのあと、文字の配置、、、、そしてそれぞれの軸装、離れてみると美しい。

しかし!!

私には全然読めまへん!

もう○○切、、、という物の前へ立っただけで、無言のプレッシャーを感じて苦しくなるんです。

読まれへんかて、だれもバカにせえへんよ、、、とは思うのですが、なかなか矮小なプライドが邪魔をして、素直に楽しめないんですねえ。

さりとて、四辻さんの講義は古筆のどしろうとにもわかりやすく、こういうのを専門にされている方からすれば初歩の初歩を教えて下さる。

平安時代の初期、中期、後期にどのようにかなの好みが変遷していったか、どのような能筆家がいて、どのような作品が代表なのか。
いままで断片的にあった知識が時系列にそってすっきり整理できた感じです。

その時代はちょうど今の大河ドラマの時代をなぞっているようで、白河院やら鳥羽院やら、藤原摂関家の面々の名前がでてきて、ついその俳優さんの顔がうかんできたりして、、、


なかでも悪役ヅラの藤原忠通(忠実の長男の方)が法性寺流という、ねばっこい自体の仮名を書く能筆家とはねえ。
彼は、
白河院の阿弥陀堂供養の定文清書
待賢門院御願の寺院の額揮毫
美福門院御願の寺院の額揮毫

などなど、ああ、また俳優さんの顔がうかぶcoldsweats01


かなの作品の中での最高峰は高野切古今集だとか。

確かにいろいろならべられた作品の中では、(読めない)私ですら美しいと思います。

高野切は3人の能筆家の手になる物だそうですが、巻頭をかざる第一集その他を書いた第一種とよばれる人だけが不明なのだそうです。
でもこの方の字が一番好きかなあ。

ちなみに高野切という名前は秀吉により、一部が一時高野山に寄進されたからなんだそうです。

駆け足だった料紙について。
初期の頃は雲母砂子、やがて輸入唐紙、国産唐紙、むらご染、金銀箔散らしと手が込んでいき、どういう料紙かである程度時代がわかるのだそうです。

講座を聴いた後で再び、そういう視点から展示をみると、また興味深いものがあります。

なにより仮名の前に出ても、どきどきが少しましになったかも、、、??

<本日のおまけ>

一足早い桜が咲きました。


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京都三条寛永堂製。

2012年3月23日 (金)

天つ河よりこぼれきたる〜城南宮・枝垂れ梅

城南宮はずっとスルーしてました。交通の便がいまいちなので。

ほん近くのパルスプラザの京都アンティークフェアにはせっせと行くのにね。
(物欲、物欲)

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でもこの季節、枝垂れ梅がすばらしいと聞いて、デジイチぶら下げてGO!


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参道からしてもう美しい梅が満開。

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まずは本殿にお参り。

方角の災いを除く方除の神様として有名ですが、実は鳥羽のこのあたり、白河上皇が壮大な離宮を造営して院政を開始された場所だったんですね。(あ〜、NHK「平 清盛」見直そう)


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だからほんちかくに白河上皇の陵もあるのね。
(こんなところにあるとは知らなんだ!)


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なので菊の御紋が。


さて、神苑に一歩足をふみいれると、、、、


まあ〜〜〜〜lovely

雨にもかかわらず、夢のような景色が、、、

とくとご覧あれ。


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なにかに似ている、、、何かに。
そうだ。
舞妓さんの花かんざし。


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いづれの天(そら)より降りきつるものか。

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枝垂れ桜の美しさはさることながら、梅がこのように艶やかで華やかであるとは。

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天つ河よりこぼれきたるか。


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また美しき、白梅の枝垂れ。


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花の雨の下。
これなら濡れてみたい。


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艶やかな姐さん達の前で、ちょっとはずかしそうな少女の風情の紅梅。

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神苑では椿も盛り。
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地味だけれど、薮椿は好き。

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唐子咲きの日光(じっこう)椿。

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見ている合間にもほろほろと落ちる花。

ふ〜っ、、、
しばしの夢見心地でございました。

<付記>

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4月29日にはこちらでみやびな曲水の宴がおこなわれます。


2012年3月21日 (水)

弘道館月釜〜五種の菓子の茶

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弘道館の月釜も今年度はこれでお仕舞いです。(あ、もちろん来年度も速攻申し込みましたが、、、coldsweats01


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毎回見ていたはずなのに、今回初めて気づいた!
玄関庭の灯籠は菊桐紋様だったんだ。
しかもきれいに苔むしてlovely


さて、3月の月釜は「五種の菓子の茶」。

今でこそ茶会のお菓子はおいしく上品な上生菓子がいただけるわけですが、それも砂糖がふんだんに使えるようになった江戸中期以降のこと。

利休さんの時代にはお菓子は手作りの素朴な物で、柿や栗、麩の焼きなどであったことはご周知のとおり。

会記としては一番古い歴史のある松屋会記に記された菓子は、、、

柿、焼き栗、銀杏、金柑、棗、茅の実、クワイ、小芋、山芋、蓮の実、昆布、海苔、麩、椎茸、、、

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ところでお菓子の数は四ヵ伝で三種、行のお点前では五種、真では七種ですよね。

お稽古で五種や七種でるともう、口の中が甘甘で、はやくお茶もってこい!って気持ちになるのですが、実はその一つ一つの大きさに問題があったわけで、、、。


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これは今回のテーマ、大徳寺縁高に盛られた五種の菓子。
伝統的な五種盛だそうです。

一つ一つが小さくて、しかも甘い物ばかりでなく蒟蒻、椎茸がはいっているのです。
これなら五種でも楽勝。
そうか、そうだったのか。
これが本来の五種盛だったのね。

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薯蕷は五種の中に必ず入れる物だそうです。
お隣は金柑の甘煮。

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もう一つ、入れる約束が羊羹だそうで、これは小豆、柚子、肉桂の3色羊羹です。

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甘辛く炊いた蒟蒻と椎茸。
意外とこれがお茶に合うのです。
目からウロコ。


かつて武士=肉体労働者だったので、塩分のあるものが必要だったのではないか、という説もあるらしいです。(真偽のほどはしりませんが)


老松の太田さんは午前中大阪の方へお仕事だったようで、いつもの語りが聞けず残念でしたが、今回のお点前は太田さんをして「私を抜いた!」と言わしめた、天才肌の職人、老松の副社長さんでした。


床は幕末の頃の絵で、たくさんの猩々が浜辺で花見しながら宴会をしている様子を描いた物。
そうでなくても赤い髪、そうでなくてもお酒好き、、、の猩々の酒盛りって考えただけでも賑やかで楽しそう〜。

もう一つの床には芥川龍之介の「乳垂るる 妻となりつも 草の餅」。
う〜、、、、私も垂れとるが、、、、(あ、想像しないでね)


主茶碗が蓮月焼きだったのですが、茶碗に釘彫りされた蓮月の歌が、実は私が持っている蓮月の茶碗と同じだった!

「ひがしやま 春まつころの あさぼらけ かすみにひびく 鐘の音かな」

蓮月さんはひところ岡崎村に住んで、たくさんの蓮月焼き茶碗を作陶したとのこと。
わが家のある岡崎にちなんで購入したのです。

しかし、実は蓮月焼きほど偽物が多い茶碗はないといいます。
実際、自分の茶碗が本物かどうか全然わかりません。

でも、蓮月さんは有名になるにつれて、偽物でもそれが売れて作った人の日々の暮らしのたしになるならそれでよい、と思ったばかりか、偽物に直筆の釘彫りで歌をかいたりしたといいますから、こうなるとどこまでが本物で、どこまでが偽物やら。


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弘道館では旧暦のお雛様。
今回もたくさん勉強して帰りました。

あ、帰りにも一つ寄ったところ。

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弘道館月釜のあと恒例となりつつある、虎屋菓寮一条店。
いつも甘いお菓子ではなくて(これは弘道館で堪能してますし)、これ。
お赤飯セットどす。
むしやしないに調度よいのです。

2012年3月19日 (月)

桃月雑記・2012

<その1>

昨年vivasan様にいただいたフタバアオイ、みるみる芽が大きくなって葉がほころんできました。

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無事越冬。
こんなに出たばかりの葉っぱなのに、ちゃんと葵の葉脈になっています。

それ以上に驚いたのは、、、

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葉が出るときに、花のつぼみもいっしょに出てくるんですね〜coldsweats02


<その2>

市立美術館は行列ができるようなメジャーな展示ばかりではありません。

こぢんまりした展示も散歩がてらでかけてみるとけっこうおもしろい。

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今の展示は「模様をめぐって」。

日本の近代工芸で表現される紋様について、主題、配置、創造などテーマを分けて解析する展示で、工芸も陶芸、染色、漆器、彫金、木工など多伎にわたる作品をいっぺんに見ることができます。

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(それにしても市立美術館は建物自体が芸術なんだわ。)

展示の中でやはり興味が向くのは茶道に関係する陶芸。

清水六兵衛や河井寛次郎、富本憲吉、近藤悠三などのビッグネームの作品が一堂に会しているのは滅多にないことかも。

ただ展示には向く大ぶりの壺などが多く、美術品として優れていても、茶の湯の道具としてはなあ、、、と思っていたらあったんです、すてきな茶碗や水指が。
しかもとても心惹かれる作風の。

作者は楠部彌弌 。
民藝とも接点のあった陶芸家で岡崎在住であったらしい。

初めて知った陶芸家だなあ、、、と思いつつ帰りの道で、、、


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ここは前をよく通るのですが、いい感じの仕舞屋、と思っている神宮道のお家なんですが、


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おお〜っ!
ここがあの楠部さんのお家だったとは!

ちなみにこの展示会、龍村平蔵の錦も見ることができますよ。
25日まで。


<その3>

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春まだ浅く、野村碧雲荘お向かいの清流亭の枝垂桜はいまだ眠っているようです。

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お気に入りの散歩道、碧雲荘の南、疏水分線を歩きます。
これは東向き。

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これは西向き。
水のある景色というのはとても心惹かれますね。


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土手の土筆もいまだし、、、のようです。

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この疏水分線、いつも野村美術館のところで南禅寺に行ったり、永観堂の方へ行ったりで、その上流はどうなっているのか気になりつつ行ったことはなかったのです。
で、この日は流れを遡って山の方へ。

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ドン付きで暗渠になっているもよう。
この先は南禅寺のあの水路閣に通じているはず。

いくつにも別れた疏水分線をたどるのに興味は尽きません。
京の先人の偉大さを確認する道でもあります。


<その4>

早春の永観堂です。

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青楓、紅葉のころは人で一杯ですが、この季節、観光客はほとんどいません。

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シンボルはこの多宝塔。

野村碧雲荘の借景にっも取り入れられていますが、私は毎朝通勤のバス停から、これを遠く眺めています。
雪の日などはとくにきれいなのです。


登って近くまでいってみましょう。

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ありゃりゃ、、、
美しい裳層(もこし)が全然見えない、、、

やはり遠くから眺める物なのね。


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でも多宝塔からの景色はやはりすばらしい。

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境内にこんな碑をみつけました。
滅び行く今様を、現代に残そうと日本今様謌舞楽会を立ち上げた枡井泰山師の顕彰碑のようです。

この歌も梁塵秘抄の中で有名なもの。

今年の大河ドラマでまた今様にスポットがあたっているので、この碑を見に来られる方も増えるかもしれません。


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方丈に入ると、、、あら、エレベーター。


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上からみたエレベーター棟。
上手に隠してはるわ〜。


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ここではこれを見なくちゃね。
臥龍廊。

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まさに龍の骨にあたる天井。
これは木を撓めてカーブを作っているんでしょうね。
匠の技ですわ。


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おやまあ、どこか異次元にでもつながっていそうな、、、

<その5>


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ついこの前来たときは、茶色の枝ばかりだった本法寺(裏千家今日庵お向かい)の柳、もう緑に芽吹いています。

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本日のお目当ては長谷川等伯の大涅槃図春の特別公開。

2年前の春、京都国立博物館で長谷川等伯展をやっていたときに見て、あの博物館の高い天井をもってしても足りない大きさにビックリしたものですが。

本家ではこの涅槃図のために建てられた建物に展示されていました。
高さはありますが、広さがないので全体を眺めることができないのは残念ですが、2階から絵の上の方が近くで見られるというのがうれしい。

今回もちゃんと猫の姿を確認。
(一般に涅槃図には猫を描かないことになっているらしい。ナゼダ?!)
かわいいキジトラですのよlovely

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(光悦の巴の庭も見ることができます)

ご住職さんに伺うと、かつては本法寺はもっと広大な地所があり、本堂もこの涅槃図がかけられるくらい立派で大きかったのだそうです。
江戸時代の天明の大火で焼失した後、本堂も小さくなってしまったが、土蔵にあったこの絵は奇跡的に助かったので、今はいつもは宝物殿にしっかりしまわれているとのこと。
う〜ん、薄暗い本堂にかかっているこの涅槃図を見てみたいなあ。

<その6>

桃見月というのに、御所の桃林はまだごらんのとおり堅いつぼみのままです。
寒いしね。

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でも梅林は今が見頃。


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白梅、紅梅、桃色梅、、、
近寄るとほのかな香り。

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御所はご近所の方のほんとうによい散策路ですね。


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ピントぼけてますが「未開紅」といったところでしょうか。

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艶やかな乙女をおもわせるお見事なる姿。

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3月で梅がやっと、なので桜の開花はやはり遅れるでしょうねえ。

でも、こちらは一足お先なようで。


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2012年3月18日 (日)

祗園又吉〜東山花灯路

久しぶりに祗園又吉へ行きました。

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遠方からのお客さん方をお連れして、決して後悔させない、という選択肢です。

今まで京都グルメであちこちへ出かけましたが、一番行った回数が多いのが又吉さんなんです。
まずまちがいなかろうと。

(ちなみに町家ショップらりぃに参加されているお店です)


あちこち浮気もしておりまして、ほんとうに久しぶり、お店の雰囲気は少し変わったかもしれません。

カウンター席だけなので、中で大将の手さばきをみるのもご馳走なんです。

写真の方は残念ながらアップできないのですが、お料理の方はグレードアップしていました!
感激。
器もなんだかレベルが上がったような気がします。そんなに高い物じゃありません、と大将は謙遜しはるけど。

品数が多くて、見た目も美しく、季節をふんだんにとりいれたお料理です。
中盤になって、蟹をさばきはじめはったので、わ〜蟹だ蟹だ!と喜んでおりましたところ、いつまでたっても蟹は出てきません。

目の前で取り出していた蟹味噌はおいしいソースになって出てきたんですけれど、、、

次はご飯になります、と聞いてあの蟹は〜?と思いましたが、、、、
でました!

アツアツのご飯の上に蟹の身と葛の餡、生姜たっぷりで!
わ〜いhappy02
なんて贅沢な蟹の食べ方!

いただいたお酒は東近江の純米うすにごり「一博(かずひろ)」。
辛口のおいしいお酒でしたわ。


お客様にも喜んでいただき、食後はせっかくだからと、ほん近くでやっている東山花灯路へ。


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青蓮院から円山公園を経て、高台寺、二年坂、産寧坂、清水までいたるライトアップと灯籠の路です。

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寒かったのと、夜遅かったので近くの石塀小路へ。


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この小路には最近たくさんのお店や宿屋ができて、格子戸を通って漏れてくる電灯の灯りがしみじみ美しい。

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日本の伝統建築はなんと美しく、京都に似合っているのでしょう。

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こちらのお宿では玄関に飾られたお雛様を格子のあいだからちらりと。

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寒い中、結構大勢の方がそぞろ歩きを楽しまれていました。

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イベントもたくさんあるようですが、ただ歩くだけでも楽しいです。

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祇園閣もライトアップ。
こうしてみるとますます祇園祭の山鉾に見えますね。


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大谷本廟はまるで夜間飛行の滑走路。


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長楽館では表でホットワインなど売っていたので、いたくそそられましたが、さきほどおいしいお酒をいただいたばかりなので断念。


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円山公園にて。


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これは一つ一つがこんなお花の形をしています。
この近くにもう少し行けば小川のせせらぎ一面を竹灯りでうめつくした物が見られたらしいのですが、残念ながらこれは見逃しました。

20日までです。
もう一度行こうかな。

2012年3月16日 (金)

宮沢賢治・詩と絵の宇宙

東日本大震災から1年、東北は岩手が生んだ宮沢賢治の「雨ニモマケズ」が復興をめざす人々の愛唱歌になっているそうだ。

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(大丸・宮沢賢治。詩と絵の宇宙展)

それはそれでうれしい。
うちのめされた人の心にしみいる詩だから。

でも、賢治の宇宙はほんとうはもっともっと広いのだ。

実は高校生の頃、私は宮沢賢治全集を学校の図書館でほとんど読破した。
そして賢治についてどんなことでも知りたいと、いろんな資料を読みあさった。

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大学に入って、この全集を河原町の古本屋でなけなしのバイト代をはたいて買った。

そして賢治の足跡をたどって、イーハトーヴ(花巻、盛岡周辺)巡礼をすること2回。

そこまで彼の詩が、物語が、歌が、そしてその生き様が、アドレッセンス(思春期)中葉(これは賢治が生前唯一出版した「注文の多い料理店」で対象者として書かれている言葉です)の私を惹きつけてやまなかったのだ。


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小学生の頃、初めて「銀河鉄道の夜」を、読んだ。

この物語の原稿は散逸部分が多く、未完成原稿であり、話の筋がすっきり終わらないことから、一体最後はどうなっているのだ?といういらだたしい思いをかきたてた。
それだけに気になる物語だったのだ。

もう少し大きくなって、高校生のころに再会できた幸運をよろこばずにはいられない。
未完成稿など気にもならない、おおきくて、おおきくて、はてしなくて、壮大で、、、そして美しい物語としてよみがえった。
(なにしろ「銀河鉄道999」なんて名オマージュができるくらいですから)

そして賢治全集に突進したわけで。

なのに、大人になってしばらくあの賢治ワールドを忘れていったのは、アドレッセンスをとうにとうに過ぎて浮き世のアクにまみれていたからなのだろうなあ。

大丸ミュージアムで宮沢賢治・詩と絵の宇宙をやると聞いて、かつての自分に会いたかったのかもしれない。

賢治の年表、原稿、手帳はもう何度も見ているので頭にはいっているのだが、イーハトーヴ周辺の地図を見たときは、行った時の思い出がいっぺんによみがえって思いがけなく目頭が熱くなった。

イギリス海岸(賢治命名・北上川の白亜紀の岸辺)では賢治作詞作曲の「Tertiary the younger」を口ずさみつつ、
羅須地人協会の建物を見に花巻農業高校に許可を得て入り込む。
賢治設計の花時計を見に花巻温泉へ。
旧花巻農業校跡の「早春の詩」碑を声をだして読み上げ、
旧盛岡高等農学校時代の建物を見るために岩手大学農学部へ。
当時は弟の清六さんの表札がかかった賢治の家をなんどもうろうろ。
盛岡の光源社(「注文の多い料理店」を出版)は今は民藝関係のお店になっている。

はてはセメント工場しかないのに、賢治の晩年の職場だった東北砕石工場あとまで見にいった。

賢治の物語のなかにでてくる地名もつぶさに踏破。
束稲山、早池峰山、遠野、小岩井農場、岩手山、、、、


大丸ミュージアムで今回展示されている多くの物語の挿絵。
うっすらとしか内容を覚えていない物もあれば、はっきり中のセリフまで覚えている物まで、見ながらあの頃の気持ちを追体験していく。
「水仙月の四日」、「雪渡り」、「どんぐりと山猫」そして「銀河鉄道の夜」がやはりいいなあ、、、
賢治の宇宙は美しく果てがなく、こんなにも画家のイマジネーションを刺激してやまないのだな。

それでも、もうあの頃のようにその世界と一体になれることはもうないだろう、という一抹の悲しさも感じる。
賢治、享年37才、それをもうどれだけ過ぎて私は生きてきてしまったやら。


賢治の「農民芸術概論要綱」に当時大好きだった言葉がある。

「まづもろともに かがやく宇宙の微塵となりて 無方の空へちらばらう」


当時、これから始まる人生への道しるべとも思っていた言葉である。

今、自分を振り返って、「かがやく微塵」になれているかどうか、、、はなはだ疑問に思えるのが少し悲しい。

2012年3月12日 (月)

弥生・修二会の茶事

わが家の梅もほころんできました。

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ほのかに香るこの季節に、五名の茶事のお客様をわが家へお招きすることができました。

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一月前の如月の茶事では、気のおけない仲間と交代で亭主をやったりして、かなりブロークンだったのですが、今回はいずれもお茶の道では大先輩にあたるかたばかり。
遠くは関東方面からもおいでくださいました。

若干緊張しつつも、一月前から用意周到に(ほんまか?coldsweats01)準備してきました。

水屋のお手伝いには以前のお社中の先輩が(年は後輩だけど)かけつけてくれました。
ありがたい。

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今回のテーマはずばり「修二会の茶事」。
なので、帯は気持ち「天平華紋」、、、といえなくもない、、、ものにしてみました。

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水屋OK、、、、たぶん。

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待合。
床は清水公照さん(東大寺207,208世別当)の修二会の色紙。
印刷なんですけれど、二月堂までわざわざでかけて入手したもの。

2月27日、本行に先だって、練行衆たちが、お堂を清めて荘厳する日の様子を描いた物です。


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本物の二月堂を飾る糊こぼしの造花は入手が困難ですので、これは中川政七商店でゲットしたもの。


席入り後は必死でしたので、あまり写真はありませんのcoldsweats01

軸はこれも元東大寺管長さんのもの。東大寺の瓦の拓本付。


初炭はこれはお稽古で何回もさせてもらっていますので、つつがなく。
火をうまいことおこせるか、は炉に関する限り、よほど下手につがない限りは大丈夫、という感触です。

香合は東大寺伽藍の礎を模した物。
(裏に天平古経残字)


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点心のお弁当。
今回は御所南のふじ亭さんの仕出し。
こちらはお店でもお昼がいただけます。
おいしかったのですが、次の準備をしなくてはいけないのであまりおちついていただけなかったのが残念。

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自分で懐石まで作れるのは、まだ先のこととなりそうですが、今回、私としては初の挑戦、小吸い物+八寸+千鳥の盃を。


先輩方(=お客様)のご指導をあおぎながら、なんとか千鳥、やりおおせました。
長いことよくわからなかった千鳥もやっとわかった!

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中立の前のお菓子はとらやさんのきんとん。
実は別の銘がついていたのですが、今回「若狭路」と勝手にかえさせていただきました。
とらやさんゴメン。

若狭の国から送られてくる御香水(ごこうずい)の道ということで。

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中立のあとは後座の準備。

お釜は炭をいじらなくてもいいくらい良い松風をたてています。
おいしい濃茶、練れるかしら。


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この水指が今回、ちょっと(ない)智恵をしぼったところ。

名水だてではございません。
真塗り手桶に、榊と自作の御幣をくくりつけ、気持ち二月堂の若狭井からくみあげた御香水のイメージで。

手桶の蓋の扱いも、前もって先生にお聞きして勉強しておきました。
(それまで扱ったことがナイ)


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花器は須恵器残欠。
糊こぼしのイメージの椿と、先日みてきた二月堂お松明からこぼれた焼け杉の枝を。
焦げた杉の香りはとても良いのです。
空気が清浄になるような気がします。

濃茶は5人分の分量がわからず、ちょっとどろっとしすぎたかも。
お服加減はほんとうのところどうだったのでしょう。


あ、ちなみにお茶杓もお松明の竹で作った、一部焦げのあるものを。
東大寺管長さんの銘がついています。

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さて、今回の初挑戦はもう一つ、後炭手前。

今まで続き薄はかずかずやれど、後炭は茶事の中ですることはほとんどなかったのです。
なので、炭斗のセットの仕方まで、え?ほんとうはこうだったの?!と知らなかったことたくさん発覚。
環を火箸にかけないってことは、今度初めて知った!(なんてこった!)


後炭は初炭とちがって、これという決まったやり方はないし、炭の流れ方でいかようにも対処できないといけないので、初炭よりはるかに上級なんですね。

胴炭を火箸で割ろうとしましたが、どっちへ向けても割れず。
これも先輩方のご指導で、輪胴は入れずに炭をつぎました。

流れた炭を見るのはなによりのご馳走、と言っていただけてうれしかったです。
炉の中で赤々と熾っている炭はほんとうに美しいです。

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さあ、気がはるのもここまで。
薄茶は気楽に和やかに。
お点前は水屋お手伝いの先輩にお願いして、私は半東に。

干菓子の盆は練行衆たちが食事に使われる日の丸盆(永仁6年…1298年に作られ、26枚現存する)の縮小写し。

貝寄せは末富さんに注文した物。
土筆は俵屋吉富さん。


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なんとか教科書通りなぞるところまではいけるようになりましたが、課題はまだまだ山積み。

毎回反省点は多々あれど、茶事は楽しい。

そしてこうして茶事にこめた亭主の思いをくんでくださり、一座をシェアしてくださる方々と、ご縁がいただけたのもありがたい。

さて、もう(いつになるか未定ながら)次の茶事の構想を練ろうかしら。

2012年3月 9日 (金)

修二会〜お水取り2012

今年も奈良・東大寺、二月堂では修二会の本行がおこなわれています。

(お水取りについて、先月奈良に行った試別火(ころべっか)のころの記事で少し書きましたので、ご興味のある方は御併読くださいませ。昼のあかるいうちの二月堂とも比べられますのよ〜。)

お水取りのお松明はもう十数年前から、毎年欠かさず行っているので、このブログでも毎年くりかえしになりますが、それでも同じ時候に同じ仲間と、こうして行くことができるのはありがたいことだと、感謝しつつ。

たどるコースも毎年だいたい同じ。

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もちいどの商店街の萬々堂通則さんで、上生の「糊こぼし」を調達。
修二会の間、二月堂を飾る椿の造花を模したお菓子で「糊こぼし」と銘をつけられるのは、萬々堂通則さんだけ。


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東大寺開山の良弁さんのお堂に咲く椿も糊こぼし。


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奈良公園の中にあるお宿は青葉茶屋。
かれこれ30年くらい前から実は利用しているのです。

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宿で荷解きしたあとは奈良公園をつっきって二月堂へ。
昨年はほどよく咲いていた片岡梅林ですが、今年はごらんのように、まったくつぼみです。


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この若草山を胸にいだくような、くれなづむ浮雲園地が大好き。


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二月堂到着。
このころはまだそれほど人はいませんが。

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小口塗りの白が美しい二月堂。
奥の方、左端にちらっとみえるのがお松明に先導された練行衆が上堂される登廊。

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そろそろ日も暮れて参りました。

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ご覧のようにこのころになると、立錐の余地もないとはこのことか、と思うほど混み合って参ります。
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登廊から、いよいよ最初のお松明が登ってきます。
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練行衆上堂(お堂に入る)の独特の差懸(さしかけ・履物)の床を高らかにふみならす音も聞こえます。

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それほど信仰心などない私ですが、この火をみると、なんだか敬虔な気持ちになって、おもわず手を合わせてしまいます。

昨年はお松明を見に行って、すぐそのあとでした、あの大震災がおこったのは。

これから、お松明をみるたびに、あの日のことをずっと思い出すのだろうな、と思いました。
合わせる手にも今までとは少しちがう思いも。

天下安穏、五穀成熟、万民豊楽を祈り、十一面観音にひたすら祈願する修二会の間に、あの震災がおこったということで、少なからず衝撃をうけた練行衆もおられると聞きます。

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またこうして今年もお参りできたと、いつもこの時は、なにものかによって「生かされている」と実感する。
ありがたや。
あの震災の後なおのこと、さらにその思いを強くする。


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雨のようにふりそそぐお松明の火の粉をあびて、また1年、無病息災であれと。

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すべての練行衆が上堂されると、初夜の行法の始まり。


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外陣をとりまく局までは、女人でもはいることができるので、そこでしばらくお声明を聞き時を過ごします。
ゆらぐ灯明にてらされたお供えの餅(壇供・だんく)や、糊こぼしの造花、練行衆の影、南天などを垣間見つつ。

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そしてお堂をでると、あれだけ人がいたのがうそのようです。

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お松明の名残のある登廊をおりて、帰路に。


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食堂(じきどう)の前ではもう翌日のお松明の準備が。

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ふりかえり見上げる二月堂。
練行衆の祈りが届きますように。

(真ん中がとぎれてみえるのは、ここに良弁杉というでっかい杉がたっているからなんです)


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練行衆の食事を用意するめったに中が見られない湯屋の戸が開いていましたので、ちょっとのぞき見。

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幻想的な雰囲気の夜の裏参道をとおって帰ります。

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今年もお松明の燃えさしをたくさんいただきました。

お宿ではこちらの名物、二月堂由緒料理を。

すなわち、練行衆たちが召し上がる精進料理をそれに似せたスタイルで。


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よって、膳は練行衆が古くから使っているという「日の丸盆」。

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練行衆は一日1食しか正式の食事をされません。


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なのでご飯もてんこ盛り、、、(かどうか、、?coldsweats01
このように、しゃもじをたてるのが作法なのです。

修二会、満行まで1週間をきりました。
無事終わりますことを。


2012年3月 6日 (火)

怪我の功名で、、、荒川益次郎商店

その日さる系統の市バスに乗っておりました。

終点は四条烏丸。
四条大宮まではまだ意識があったんですよね、、、、

でも次、気がついたらお客さん誰も乗っていないバスに1人。
運転手さんは積み残しに気づかず(気づいてくれよ〜!、、、いや、おこされてもそれはそれでかっこわるいが、、)バスを回送中。

恥ずかしながら「スミマセン。(不覚にも)乗り過ごしマシタ。」と声をかけるとぎょっとした運転手さん。

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その場でおろしてもらいましたが、、、

ここはどこっ?!


見慣れぬ景色。
四条烏丸からいかほどはなれているのでしょうか?

ここはなんでもない風を装って、とにかく歩く。
(東西南北も不明、、、)

と、そのとき、目の前にこの看板が!!

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半襟専門店荒川益次郎商店
(綾小路室町なので、四条烏丸からはそれほどはなれていなかったようですcoldsweats01

半襟は着物のおしゃれのポイントにもなるし、集め出すと楽しいのです。

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ところが呉服店でも、和装小物店でも、ついでにちょっとだけおいている、というところが多い。
だから半襟専門、というのはうれしい。
前々からチェックはしていたのです。
偶然くることができました。怪我の功名、、、ってやつ?

入るなりたくさんのきれいな半襟がいっぱい、しかも見やすくディスプレーされているので、お宝の山の中にはいったようで、ついるんるん♪(これって死語?)

刺繍物、染めの物、地模様の物、、、、色もいろいろlovely


半襟は正絹のはそれなりに高いですが、ポリものはお値段もお手頃、メンテナンスも楽なのでいつも愛用しています。
こちらポリの品揃えもいいのです。

で、セレクトしたのはこちら3点。


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桜鼠、柳の裏葉、白。

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白は猫で、柳の裏葉は京野菜シリーズ。
この写真のは九条葱ですが、、、、、

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ちょうど襟を上から見下ろしたときに目に入る位置(襟の内側)に賀茂茄子がみえるんですよ、ちらっと。
この遊び心が半襟遊びの楽しいところですね。


ちなみに中でつながっているのですが、隣接する「さんび堂」には帯締め、帯留め、龍村の生地を使った袋物など、ほしくなるような和装小物もいっぱいですよ。

お着物のおしゃれがお好きな方にはおすすめですよ〜。

はあ、、、バスで乗り過ごしてもたまにはいいことあります。

2012年3月 3日 (土)

堀川寺之内界隈〜ひいなの頃

利休忌もすぎたので、菜の花解禁。

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ひいな(雛)の節句でありますから、桃といっしょに投げ入れ。

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お菓子も菜の花色ですね。

さて、堀川寺之内、、、ときいて、お茶をやっているかたなら、ははあ〜、、あそこね。と思われたことでしょう。

表千家不審菴、裏千家今日庵が並んであり、お茶に関する道具屋さんや上生菓子屋さんも軒を連ねるお茶好きにはタマラン界隈です。

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で、わたくしはお勉強に茶道資料館へ。

現在の展示は「早春の取り合わせ」(後期)。

名品といわれるような道具は何も持っていませんので、ここで茶道具の名品を、茶事の流れでふんだんに使ってみたらどうだろう、、、と仮想脳内茶事をやってみるのは(お金もかからないし)けっこう楽しいですよ。

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(まんさくと椿)

この季節、茶道系雑誌などでよくみる認得斎(18〜19世紀)の横物軸「梅酔」が展示中。
もっと墨蹟のように大きい物かとおもっていましたが、意外と小さいのね。
かつてはこの「酔」が「砕」に読めて、梅を砕くってなんだろう???と思っていましたcoldsweats01

一入の黒楽茶入も珍しいのですが、端整でシャープなフォルムでないところが暖かい感じでいいですね。
なんとなくよろけた姿に銘が「尉どの(おじいさん)」で、うまい!座布団一枚!

対して威風堂々の瀬戸茶入、かの織部が所持していた「青苔」は、大きい、シャープ、貫禄、、、、の名品。
西本願寺が所有しているのもわかるような。


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(資料館の呈茶席でいただいた二條若狭屋の薯蕷)

資料館には四畳半の茶室・又隠の写しがあるのですが、そこにかかっていた軸が千嘉代子さん(鵬雲斎のご母堂)の手になる梅の絵と、くずし文字も流麗な歌。
「窓近く なくうぐひすと 梅の影 うつる障子に 春日(、、、以下失念sweat02)」


はるか仙台から、裏千家に嫁されたこの方の品格と教養がにじみでるような字でした。

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資料館近くの水火天満宮の紅梅。
こぢんまりとした神社ですが、初めて菅公を勅命で祀った神社だとか。


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お次の目的地は、両千家近くの宝鏡寺。
毎年ひいなの節句の頃、公開されます。
二年ぶりの訪問。


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歴代は皇女がつとめてきた門跡寺院ゆえ菊の御紋があちこちに。百々(どど)の御所とも。
幼くして入寺された皇女もおられたそうです。
ゆえにそれを慰めるために父天皇は、お雛様をお持たせになったのでしょうね。

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以前来たときはこの橘しか気づきませんでしたが、ちゃんと右に桜もあったんですね。
古木は枯れたらしく、若い苗が植えられていました。

円山応挙の仔犬図の板戸も見所ですよ。(至近距離で見ることができます)


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宝鏡寺から一本東、紀州徳川家拝領・表千家表門が少し開いていましたので、ちょっとのぞく。

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こちらは本法寺から見た裏千家・兜門。
風情がありますね。

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本法寺の前の大柳は緑になると美しいのです。


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こちらには光悦作の「三巴の庭」がありますが、これは光悦手植えとされる松とその銅像。

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そして長谷川等伯のあの大迫力涅槃図も15日から公開されるようです。
少し前に、京都国立博物館の等伯展で展示されていましたが、あの博物館の天井をもってしても下の方は地面についていたというデカイ涅槃図です。
オリジナルの場所でみてみなくちゃ。


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両千家お向かいにこんな表札を発見!

木具師 橋村萬象さんのお宅はこんな茶の湯聖地のど真ん中なのね。
この方の、胡粉置き上げで装飾した曲げの炭斗を見たことがありますが、とてもすてきなんですよ。


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この周辺に立ち並ぶ茶道具屋さんをのぞいてみましたが、どこもお雛様のお道具でいっぱい。
かわいいのも、お値段的にかわいくないのもcoldsweats01いろいろと。

ここらへんのお店でお得意様になるような客層ってどんな方々なんでしょうねえ、、、
遠い世界だわ。


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この界隈、お菓子屋さんは茶寮もついている俵屋吉富さんがあります。
こちらのガラスケースにおさめられた季節の干菓子はとっても美しくて、芸術品。

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表のガラスケースには饅頭喰い人形。

さて、そろそろお腹もすいたし、おいしい物のゴールデンロード(勝手に命名)鞍馬口通りへ。(大宮より西)


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たいがいはスガマチ食堂か、さらさ西陣なんですけれど、この日は雨の平日のせいか、かね井さんに行列ができていない。

らっき〜!


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あ、こちらにも菜の花が。

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このそばがき、感動的においしかったhappy02
そば粉をこねこねしただけのお家で作るそばがきとは似て非なる物、、、いや、似てもいない。
ねっとり、ほかほか、蕎麦の香り。
蕎麦と云えば草の実なのにね。なんでこんなにおいしいの。


願わくば、サメの皮のおろし板ではなく、もっと目をたてたおろし金を。
ガシガシおもいっきりワサビをかけて食べてみたい。