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2011年11月 2日 (水)

観世流「井筒」上演と能のお話〜平野の家・わざ永々棟

白梅町にほど近い紅梅町、今年春にはじめておじゃました平野の家・わざ永々棟です。(永々棟のくわしいことはリンクをみてね)

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本日はこちらで観世流シテ方味方 玄(しずか)さんの初心者向け能のお話しと、彼による「井筒」を座敷能形式(衣裳はつけず、袴姿で舞う)で拝見。

(味方さんは能をもっとたくさんの方にみてもらいたい、身近にかんじてほしい、ということでさまざまなイベントや取り組みをされておられます。)

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舞台は改修された大正時代の数寄屋です。
文句なし。

そもそも能楽に興味はあったものの、そして何回か見たものの、もう一つあのスローすぎるテンポにあわず、入り口あたりでとまっているのです。
ところが茶道具の銘など、能楽の謡曲から来ているものもけっこう多く、日本絵画の題材としても能の知識がないとわからないものが多いのですよね。

一応知識、教養として最低限のことは身につけたいのですが、まずはもっと興味をもてるようにならないと、、、、というわけで、参加してみました。

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まずは待合いにてお抹茶を一服いただきます。
座敷能で面や衣裳はつけないかわりに、こちらに展示されています。
見事な唐織の衣裳に、因州池田家伝来の小面。

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こちらで出たお菓子の写真をうっかり忘れました!
老松さんの特注上生菓子で、それぞれに古筆の先生のこんな和歌が書かれた紙片が沿っていました。

  「月やあらむ 春や昔の春ならむ 我が身一つは もとの身にして」

古今集の歌ですが、伊勢物語のなかで歌われたことで有名。
そう、今日の演題の「井筒」も伊勢物語で、この歌はこの演目のキーワードともなっているので、ここからもう能は始まっているのです。

(しかもお菓子がその「月」をイメージさせるものだった!!)


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舞台になる二階はまたすばらしい眺めです。

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ほんまによう奇跡的に残ってくれたお屋敷ですね。


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この骨組みが筒井筒の井筒、すなわち井戸をあらわし、薄は時が秋であることを示し、しかもなんとなく月の存在をしめしているのだそうです。


まず味方さんに、能の歴史、井筒についての見所の解説、面のお話しなどを聞きました。

そうだったのか!といまさらながら聞いて合点することも多く、また地の声からいきなり謡の声にかわって解説をなさるところなど、まあ、すごい、虹色ボイスだわ、と感動したり、、、

さきほどの小面(大野出目家六代甫閑作)をみせてくださいましたが、なるほど目の位置がよ〜くみると右と左でちがっているのです。この微妙なゆがみが面にすごく豊かな表情を与えているのです。

同じ面なのに、少し上へむけると(テラス)喜んでいるように、下へ向けると(クモラス)と悲しんでいるようにみえるから不思議。

能面のような、、、と無表情な顔のことをいいますが、まちがっていますね。
ありとあらゆる表情を内包しているのではないでしょうか。

さて、味方さんいわく。
能の鑑賞は脳内のキャンバスに絵を描くようなもの。
舞台には実際にない月や花、目に見えぬ恋心や嫉妬、執心などを自分の想像力で彩っていくもの。

つまり受け手の感性や教養によってはじめて完成するものなのだということ。

今日の演目の井筒で月が見えたら大成功。

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そうこうするうちに夜もふけてきました。
このあと蝋燭にも火がはいって雰囲気は満点。

井筒のシテは、「昔男」といわれたかの在原業平の妻、紀有常の娘。通称筒井筒の女。

伊勢物語の有名なモチーフです。

  風吹けば 沖津白波龍田山 夜半にや 君がひとりゆくらむ

  筒井筒 井筒にかけしまろがたけ すぎにけらしな 妹みざるまに

ほんのわずかな動き、足さばきで筒井筒の女の業平への狂おしい思いをあらわします。

後の部分では業平の形見の直衣を着て狂おしく舞い、月の澄む頃、井筒にうつる業平の姿(実は彼の直衣を着た女)をみてなつかしく思う。

う〜ん、これを想像でふくらませていくのはなかなかむつかしいものだと実感。
月は見えたか?

えへへ、、、村雲のむこうにちらっと、、、くらいかな。


  ここに来て 昔ぞ返す在原の

  寺井に澄める、 月ぞさやけき 月ぞさやけき

  月やあらむ 春や昔とながめしも いつのころぞや 筒井筒

  筒井筒 井筒にかけしまろが丈

  生(お)ひにけらしな

  老ひにけらしな

初心者ですが、謡曲のリズムが意外と心地よく耳にはいってくるのは日本人のDNAのせいでしょうか。

  


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すっかり暮れて永々棟を辞する頃、今度は観世会館デビューしようかな、、、と思うわたくしでした。


<おまけ>

感動モノの永々棟、トイレの手洗い。

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これ、一枚板でできてます!

<メモ代わり>

鏡板の松(能舞台の背景には松の絵が描いてある)について

本来能楽は神に捧げる物であったため、神様の方をむいて演じられた。
春日大社の影向(ようごう)の松は神の依り代であるため、この松が鏡に映っている=鏡板の松、とするので演者は松に向かって(=観客のいる方向)演じていることをあらわしているとか。

そういえば昨年行った春日若宮御祭のお渡り式で、影向の松の前でそれぞれ芸能を披露していたっけ。
そういう意味があったのか!
また賢くなっちゃった。bleah


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コメント

おぉ~すごい!、なにが~?、
お能はわかりまへん、coldsweats01

このお手洗いがすばらしい!、

残念なんは、
そのまま市販のキレイキレイやなぁ~笑

ヘルブラウ様

実は私もお能はもうひとつ、ふみこめません。
もう少し年とったらなんとかなるのかな。

キレイキレイ、私も気になって画面から外そうとしたんですが、そうすると木のはつり目も切れてしまうので、仕方なく宣伝(?)させていただきました。

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