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2011年1月 8日 (土)

佐川美術館〜楽吉左衛門さんの茶室

はるばるやってきたのは湖国、守山市の佐川美術館
(そう、あの佐川○急便の佐川ですよ)

昨年は、夏に当代の楽さんの講演会に行き、そのお人柄に惹かれ、12月には楽家でおこなわれた還暦茶会に参席する機会を得、さらにファンになった私です。
(ちなみにアヴァンギャルドなお茶碗のほうは、まだワカリマセンcoldsweats01

そこで以前から行きたかった佐川美術館・楽吉左衛門館内のお茶室見学を、同じく楽さんファンの茶友を募って敢行することに。
(この見学には事前の予約が必要です。)


P1080360


守山駅からタクシーで10分ほど、ちと交通の便は悪いなあ。
しかし車をおりると、おお〜っ!
なんだかすごい美術館!

P1080353

佐川の財力はすごいなあ、、、などと下世話なことを思いながら入館しました。
水面を強調した建物はもちろん琵琶湖のイメージでしょうか。
ちなみに設計施工は竹中工務店とか。


P1080359

正面にみえている葦のむこうの屋根が、くだんの楽さんのお茶室です。


P1080355

水面下につくられた楽吉左衛門館の一画にお茶室はあります。
(ここから画像はありません)

楽さん自身が設計し、材料を吟味し、5年かけて完成した展示室+お茶室。
この経緯は「茶室をつくった」というご自身の建築日誌にくわしいです。(ちょっと専門的すぎてよう読まんかったですが、、、、)


お茶室のコンセプトは「守破離」。
お茶をされている方には、なじみの言葉ですよね。

話にはきいていましたが、この茶室は普通の茶室と全く異質で、無機質的。

コンクリートうちっぱなしの壁、アフリカ産の黒い巨石、オーストラリアで使われていた枕木、そして水面下のひんやり感。
これはまさしく、楽さんのアヴァンギャルド黒楽茶碗に通じるものが、、、


茶室は水面下。

普通の茶室では露地は草木のある茶庭ですが、ここでは光のほとんどさしこまないコンクリートの壁。
表面には木材に拭き漆でも施したのかと錯覚するほどよくできた木目が。しかも材料にこだわったため、コンクリート臭がまったくありません。

どこまでも続くかと思われるような遠近法を利用した枕木の道。
日本の枕木は腐食しやすいため、タールなどが塗られるのですが、オーストラリア産の木は水に強いため塗料が不要とか。

寄付には鉄刀木(タガヤサン:硬い木材)の見事な一枚板のテーブル。(紫檀・黒檀・タガヤサンといって三大唐銘木。いまどきこんな見事な鉄刀木は入手困難)
丸炉付き。

水露地、腰掛け待合いはまさしく地下の池のなかに浮いているような感じ。
足元の黒い粘板岩の石のすぐそばまで水がひたひた。
そこだけぽっかり天井があいて空が見え、コンクリートの壁から水がしたたり落ち、その水音もごちそう。


P1080469(見学者にもらえる写真小冊子より)

埋蹲。
地面と同じレベルに水面がくる設計。
かがんで柄杓をとると、正面のスリット窓の光が水面に映るという趣向。

小間:盤陀庵は水面下。
壁は構造物としてはなく、吟味を重ねた和紙の簾が壁として機能。
天井は吹き抜けでびっしり煤竹が。(このあたり、また佐川の財力をみる思い)

下地窓にあたるところにはプリズムになった透明アクリル柱が竹木舞のかわりに。
これに光が当たると、時間と共に変化してたいそう美しいとか。

風炉先にあたるところこれもまた真っ黒な石の壁。

う〜む、、、、
これは待庵に通じるものが(実物見たことないけれど)

階段を少しあがって広間に出るとこれまた息をのむ開放感!
広間:俯仰軒は畳の面が水面と同じ高さ。

外に広がる水面と葦の一群(外から見た景色)

一瞬、えっ?寒くないの?と、茶室が全く外気にさらされていると錯覚するほど透明で、反射のないガラスで囲まれた、開放感120%の空間。

畳と同じ水位で水面にまで続く、部屋を取り囲む黒い巨石。
このアフリカ産の石は自然に浸食されてできた表面の波紋で、まるで黒い水が畳にまでひたひたとおしよせているようにも見えます。

床柱は、いまどきこんな立派な、、と思うような桑の木。
床壁も黒い石。

この広間に座して外の景色を見る。
みんなそこを離れがたく思うのか、時間が来てキュレーターさんに促されてもなかなか腰があがりません。

既製の茶室の概念から離れ(破)つつも、茶室の基本は外さず(守)、しかも新しい展開をみせる(離)。

ようやくこのコンセプトが少しわかったような気が。

この茶室でこそ、あの茶碗は似合う。
むしろあの茶碗が似合うような空間を、あえて作った、というべきか。

今度はここでお茶会に参席したいもの。

P1080357(ギャラリーカフェからの景色)


<作者の言葉(抜粋)>

設計で特に心を配ったところは光と闇の美しさです。水没する茶室では人工の照明は一切なく、薄闇に自然の光が柔らかく差し込み、光と闇の調和に苦心しました。明るさばかりが求められる現代に、闇は疎まれ排斥され、代わりに蛍光灯に照らされた明るい均一な空間ばかりになりました。闇の存在によって光の美しさがあり、光があって闇の深さがわかります。それは心の闇も同じこと。外の闇と心の内の闇、その闇をもっと大切にしたいと私は思います。

P1080361


楽さんのあのお茶碗はまだ発展途上にあると思います。
その先の到達点を見てみたいと思います。(あ、少しエラそうなこと言っちゃった)

今見てきた茶室に少し興奮しながらあれこれ語りつつ、琵琶湖を後にいたしました。

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佐川美術館〜楽吉左衛門さんの茶室を参照しているブログ:

コメント

佐川美術館、一度行ってみたい所です。
以前テレビの特集番組で、楽さんの特集をやっていて
茶室の出来あげるまで、その茶室に似合う器を作ると
言う内容でした。すばらしい美を作り出す努力と遊び
そのバランスの難しさに驚き感心したものです。
小間は闇、広間は光・・・そんな印象をも受けました。
美とはとどまらないのですよね。

nageire様

そのTV番組、見逃してしまったのですよ〜。
再放送しないかな、と思っておりました。
ご覧になられたのですね。
いろいろな雑誌にとりあげられていますが、百聞は一見にしかず、実際その空気に触れて、見て、、、、静かに感動します。
ちょっと交通の便が悪いですが、是非おでかけください。損はしません。

いや~行ってこられたんですね。
ええなぁええなぁ。
私もテレビで見て、一度行きたいと思ってました。
甲賀の友だちが、温うなったら車で連れてってくれるそうで、楽しみにしてるんです。

ところで、知恩院の鐘のベストスポットがあるんですけど、大きな声では言えないので、またお目にかかったときに。

ぽん様

そうそう、車で行くのが一番かしこいかもしれません。
お茶室はほんまによかったです。
展示されているお茶碗は、、、、やっぱりよくわかりません。

>ところで、知恩院の鐘のベストスポットがあるんですけど、

ほんまですか?!
ではお目にかかったときにこっそりと、お願いします〜。happy01

おめでとうございます。今年も楽しみに拝見させていただきます。佐川美術館は、昨年社中の皆様と伺ってまいりました。とても印象深い所でした。代々の家業、それも物を作る仕事。継いで行かれる方は相当な葛藤とご苦労なのでしょうね。私もしぇる様と当代の楽吉右衛門様とほぼ同世代って、ちょっと下?。ついて参ります。よろしくお導きの程を。今年もよろしくお願いいたします。

koto様

こちらこそよろしくお願いいたします。
なかなか茶道具がそろわず、茶室開きもまだまだ先になりそうです〜。

楽さんは少し年上、奥様は私より年下ですので、ほぼ同じ時代を生きてきたんだなあ、、、と。
私が京都で大学生やっているときに、楽さんも家業を継ごうかどうしようか迷っておられた時期だったということで、なんだかとても(勝手に)親近感がわきます。
これからのご活躍を是非みてゆきたいですね。
でも、お茶碗はとても買えませ〜〜ん。crying

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