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2010年12月 7日 (火)

非時香菓・大和橘色づくころ〜秦家住宅

ご近所の好日居さんのところで、こんなすてきな催しを知りました。

秦家住宅で笙を聴く〜非時香菓(ときじくのかくのこのみ)大和橘の色づくころ」

秦家といえば祇園祭では太子山のでる油小路仏光寺の大きな京町家。
いままでも京都和菓子の会で2回ほどお邪魔したことがあります。(→

P1080114

でもこんなに暗くなってからお邪魔するのははじめて。

私の町家への憧れの原点は、夕暮れ時に玄関にぼ〜っとともる門灯の景色なのですが、その町家の、夜の本来の「暗さ」を味わえるのは初めてのこと。

(なので今日の写真は全部暗いです。時々何が写っているのかわからないのもありますが、苦情はうけつけませんcatface


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非時香菓は田道間守(たじまのかみ)が常世の国から不老不死の力を持つ霊薬として持ち帰った、、、という神話で有名です。
これは大和橘の実とされています。
なので、今日のこの会は、秦家のあちこちに橘の実がしつらえられています。

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秦さんのお家は大きな薬問屋さんでしたので、表にはミセの間、奥の座敷には苔の緑もすばらしいお庭、そして離れがあります。今日の笙の演奏は曲目毎に聴く場所を変えて、自由に楽しむ、というコンセプト。

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まずはミセの間で待機。
大きな火鉢がなつかしいです。


笙の演奏は田島和枝さん
天平時代の麗人もかくや、と思われるお衣装で。

あ、もしかして、田島さんと田道間守をかけて、非時香菓?と思ったりして。

笙の演奏は何年か前、東儀秀樹さんの演奏会で聴いたことがありますが、こんなに間近で聴くのは初めての体験です。
西洋楽器に慣れた耳にはとても不思議な音色に聞こえます。
目をつぶってみると、パイプオルガンに似ています。
あとできいたところでは音を出す原理が同じだそうで、むべなるかな、です。

笙は呼気、吸気、どちらでも音が出せるので音が途切れずに出せ、その分結露しやすいため、手あぶりで温めながら演奏する、、、というのは東儀さんの時に聴きました。
今では電気で温める機械もあるのですね。

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次ぎに奥座敷にて。
灯りはロウソクだけですので、庭は闇に沈んで見ることができませんが、以前の記憶をたよりに心の目で見ることができるような気がします。

今の生活でこれほどの暗さを味わうことができる機会は稀です。
ゆらゆらとゆれる灯心、奏者の影、聴衆の影、そして天空の音と称される笙の音色。
非日常で実に魅力的な空間でした。

(ちなみにこの会は、朝の部、昼の部もありました。でも夜の部に来て正解だと思いました。あら、他の回に来られたみなさま、ごめんあそばせcoldsweats01

笙の他にも、笙の倍の長さを持つ、正倉院復元楽器である竿(う)の演奏もされました。
これは笙より低音で、私はこちらの方の音色が好きかもしれない。
体の奥に響くような波長音で。

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ティーブレイクは好日居さんがいれてくださる岩茶(中国武夷山でとれる最高級の中国茶)・白牡丹。
また、その煎れる中国茶独特の所作が美しいのです。
小さい杯でいただいたあとは、その杯に残る茶の香りを楽しむのが流儀。
さわやかで胸がすっきりします。


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これが中国茶の点茶盤。

そのあと、秦家のご当主、めぐみさんが作られた蜜柑餅をいただく。
めぐみさんはこの家でお料理教室もされておられる腕前、さすがです。
ほんのり蜜柑の香りのする柔らかいお餅で、上に仏手柑の砂糖漬けが。おいしい、、、lovely
(暗すぎで、写真に全然写ってませんでした、、、、残念)


最後の一曲は田島さんが秦家の(すばらしい)お庭に出て、聴衆はそれぞれ離れや縁側、好きなところで聴く、というスタイル。
笙の音色が夜空に、ひいては天空にのぼっていくイメージが、ロウソクの頼りない灯りの効果とともに、とても幻想的なシーンをつくってくれました。
ブラヴォー!

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鳳凰が羽根を休めている姿を写したという、笙。
その造形も美しい。
ちなみにこれは制作に20年を要したという、京都在住の當野泰伸氏が制作された、世界にたった一つしかない象牙の笙です。
(これも演奏してみせていただきました)


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天平時代の装いを模した衣装をお召しの田島さん。
すてきですね。

三々五々、田島さんや好日居さん、秦めぐみさん、象牙の笙の作者の當野さんにお話を聞きながら、散会。

ほんとうにすてきな夜になりました。
ありがとうございました。

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コメント

あッ、これは私もご案内を頂いて、行きたかったんですが。。。
私が行ったとしてもお昼だったでしょうから、しぇるさまのブログで、素敵な夜のおすそ分けをもらって満足することにします。

若い頃、古典音楽の演奏会で笙の音色を耳にして以来、笙を作る事と演奏を手がけてきました。古代より笙の音色は天空や宇宙を表現すると感じられ、天女が奏でている壁画や彫刻像は多く見る事が出来ます。その様な音色が出る訳は、直径10mm~12mm程の細い竹管の先端に青銅で出来た小型のリードを取り付け、共振させる構造が高音域の倍音の発生に都合が良い為と思われます。楽器の音色は倍音の状態で決まり、並び方にもよりますが、音色が良いと言われる楽器ほど豊かなようです。音色が良いと言われる楽器の一つにパイプオルガンがあります。大きさは違いますが、笙と発音構造が似ています。リードを使ったものも有りますが、一般のパイプオルガンは焼き芋の行商の蒸気笛と同じくスリットと管との共振で音を出しています。笙は中華ソバの行商のチャルメラの様にリードと管との共振で音を出しています。倍音はリードを使った方が複雑かつ豊かで、笙の音が天空や宇宙を表現し、優美繊細を感じる理由の一つでしょう。

そらいろつばめ様

ご参加できなくて、残念でした。
(鹿ヶ谷での会のほうは私が参加できず、残念でしたが)
現場の雰囲気をなかなかうまく言葉では伝えきれなくて、なんだか消化不良な文章になってしまいました。ほんのちょっとでも、伝わるといいのですが。
また、すてきな会を好日居さんは計画されておられると思いますので、その節はまた是非ごいっしょに!

象牙の笙様

詳しいご説明、ありがとうございました。
また、当日は貴重な象牙の笙の音色、すばらしい演奏をきかせていただき、とてもうっとりした気分で帰宅いたしました。
笙といえば、以前は古典雅楽のイメージしかなかったのですが、東儀さんの出現以来、すっかりイメージが変わりました。
今回の演奏はクラシックではなく、かといって現代の音楽とも違って、不思議な曲調だったのが印象的でした。
あの竹の柔らかい感じが音に広がりをあたえるのかな、と思っていましたが、象牙という材質は見た目が硬そうなので、音がもっとクリアになるのかと思っていました。意外と柔らかい音なので驚きました。
この笙はまたいろんな楽人さんが演奏されて引き継いでいかれるのでしょうね。100年先までも。
とてもよい時間をすごさせていただきましたこと、ほんとうにありがとうございました。

素敵な催し物ですね。
この時期灯火は大切です。
夜話のお茶会もですが、やはり
怪しいまでの美しさや雅さを感じますね。

nageire様

日常生活で燈火を使うことがなくなってしまいましたから、よけいに懐かしいものを感じますね。若い世代では「めずらしい」でしょうか。
久しぶりに家の中の「暗さ」を堪能しました。

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