フォトアルバム
Powered by Six Apart

« 畳のへりバッグ〜ふーテトママ様のご指導の下 | メイン | ひさかたの月の桂の、、、〜桂離宮 »

2010年9月 8日 (水)

「瞳の奥の秘密」EL SECRETO DE SUS OJOS

Photo_2


今年のアカデミー賞最優秀外国語映画賞(「おくりびと」がもらったやつね)のアルゼンチン映画。

いつもはあまり受賞作品だから、とすぐにはとびつかないのだが、なんといってもスペイン語映画だし(生きたスペイン語の学習)、ご愛用シネリーブル梅田上映だったし、前評判がすごく良い、ということだったので。


2時間の長い映画でありながら、ついのめりこんで最後まで見ることができた。
25年もの間のながいロマンスでもあり、どきどきするサスペンスでもあり、考えさせられる重いテーマもあり、少しのユーモアもあり。大人の映画ですね。

ロマンスとしてもさることながら、一番考えさせられたのは死刑とはほんとうに適正な処罰なのか?ということ。
もちろん、安っぽい死刑廃止論ではない。

アルゼンチンには死刑制度はない。
作中で残虐に若妻を殺された夫のセリフ。
「もちろん、僕は死刑は反対だ。無期懲役ですよね。犯人にはこの先死ぬまでずっと、ずっとむなしい時間をすごしてほしい。」
実はこれがこの映画のキーワード。(これ以上はネタバレになりそうなのでやめておきますが)

簡単に殺してしまえば、被害者家族はいっとき気がはれるだろう。
そういう意味で、私は死刑もやむなし、と思っていたのだが。
しかし、そんなに早く、ある意味楽にしてやってよいのか。

無期懲役こそが実は一番残酷な刑罰である、という考え方もある。
(日本のように無期懲役でも何年かしたら出てくるのではなく、死ぬまで服役)

これは死刑存続派にも死刑廃止論者にも考えて欲しいテーマ。

死刑は残酷だから廃止、というならずっと檻に閉じ込められて死ぬまで、、、というのは残酷ではないのか。
被害者家族感情を考えると報復に死を、というなら、殺人者には一瞬の苦痛、しかし家族にはおそらく生きている限り続く苦痛。心は癒されるのか。

さらに無期懲役ならば、われわれの血税で殺人者を長く食わせてやらなければならない矛盾も。

物語のスタートは70年代のアルゼンチン。
軍事政権が国民弾圧を始める直前で、世相は不安定、政治家や公務員、警察は腐敗していた時代背景も頭に入れておいて見た方がいいだろう。(なんで判事があんなに違法行為を楽々出来るの?という場面があるので)

主人公の、年上のアル中の部下、ウッディ・アレン似の男優さんがとても良い味をだしていた。
酔っぱらって奥さんに家から閉め出されるかと思えば、するどい推理を披露する。
とぼけた味があると思えば、最後に尊い人間としての尊厳をみせつける。
へたくそな役者がやるといかにも作り物っぽいところを、さすが最優秀助演男優賞を受賞した役者さん、むべなるかな。

最後にタイトルについて。
瞳の奥の秘密、、、、だれの瞳か?ということ。

この原題ではsus ojos。

スペイン語のsu(s)は英語でいえばhis(彼の)やher(彼女の)にあたる所有をしめす形容詞。ときには丁寧語のyour(あなたの)であることも。

つまり誰の瞳にもあてはまるということ。

そう思って考えると、ヒロインの瞳でもありうるし、被害者の夫の瞳でもありえる、、、

だれでもその瞳の奥に秘密をかくしている、、、そういうことか。


トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://app.blog.eonet.jp/t/trackback/349039/24991659

「瞳の奥の秘密」EL SECRETO DE SUS OJOSを参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿